みんなの冷蔵庫(仮)2
「でも――」


シグマがらしくない、暗い小さな声でぽつりと呟く。


「野崎さん、行っちゃったね」


しん、と部屋が静まり返った。

京極は静かにゆっくりとまぶたを閉じ、何かを封じ込めるように深く息を吸った。

ここに来るまでと何も変わらない、と思っている人間が誰もいないことは、みんな分かっていた。

私もショックだったけど、シグマだってショックだったに違いない。

――光の……力のこと。

しかも知り合いが犯人だったなんて。


「入ろう!」


京極が沈黙を破るように、急に大きな声を張り上げた。


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