みんなの冷蔵庫(仮)2
しばらく誰もやってこず、置かれていたパンや生のにんじんをかじって幾日も一人で過ごした後、赤ん坊を連れて女が帰ってきた。

それから毎日女と男はそこにいるようになり、赤ん坊の世話をしだした。

赤ん坊はケンちゃんと呼ばれていた。

俺は何と呼ばれていたのかはわからない。

多分、あんたとかお前だったと思う。

二人はとてもケンちゃんを可愛がっていた。

多分俺もケンちゃんが嫌いではなかった。

ケンちゃんが来てから毎日ご飯が食べられるようになったから。

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