みんなの冷蔵庫(仮)2
母親の顔すら思い出せないのに、強烈に憶えていたんだ。

俺の全身を舐める、気持ちの悪い男の顔を。


白髪になって仕立てのいいスーツを着ていたけど、あの時の男だとハッキリ分かった。

男は俺のことに気付いていないようだった。

そしてホストをやらないかと言ってきた。

一度は断った。

でも渡された名刺を手に店に行ってみて、ホストをやる決心をした。

経営者はあの男ではなく、男の娘だった。

俺はホストクラブで働きだし、女に近付いた。

あんなに嫌だったセックスも、あの男の娘なんだと思うと何度でもできた。

復讐という名の下には、全て快楽だった。

この女を破滅に追いやろうと計画を練った。


< 273 / 354 >

この作品をシェア

pagetop