みんなの冷蔵庫(仮)2
「じゃ、三分後に」


京極がそう言って私に手を差し延べた。

その手を取り、立ち上がると、手の平に光を集める。

今度は瞼を強く閉じずに、すぐそこの京極を感じられる程、軽く合わせるように閉じた。


「3、2、1――」


京極のカウントダウンに合わせ、イメージの冷蔵庫の扉を開ける。

入れて
閉めて


目を開け、横に立つシグマを見る。

シグマは穏やかな表情を浮かべて私を見ている。

見ているだけで何も言わない。

その事が、ありがたいようでもあり、悲しくもあった。

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