みんなの冷蔵庫(仮)2
「そして……残念ながら、父も、ちよみ達も、誰もいなかった」


京極はそう言って軽くため息をつく。


「ま、それは想定内だ。もう少しちゃんと見たい。もう一度頼む」


私はちらりとシグマを見る。

顔色もいいし、表情もいつも通り穏やかだ。


「じゃ、次は6分だな」


京極は着ていたジャケットを脱いですぐ側のソファの背に掛け、シャツの襟元と袖のボタンを外した。


「次は何か掴めそうな気がする」


そう言ってニヤリと唇の端を上げる京極の顔は、まるで探険ごっこに夢中になる子供のように興奮していて。

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