みんなの冷蔵庫(仮)2
「彼女は今、三日月食品の総務に勤務している。どうしてホストクラブに通ったり貢いだりしていたのか、本人に直接あたって、裏、取ってきてくれ」


そう言って応接間のソファから立ち上がると、かおりが組んでいた足を凄い勢いで下ろし、床にヒールを叩きつける激しい音が響いた。


「ちょっと。簡単に言ってくれるわね。酒臭いけど、寝言は寝て言いなさいよ」


腕を組んだまま見上げてくるかおりとしばし見つめ合い、わずかに微笑んで見せる。

するとかおりは、ふっと吐息のようなため息のようなものをはき出し、肩を少し落とした。

それは了承のサインだと受け取り、出口に向かう。


「本当に高くつくからね」


ドアを閉める背中にそんな声が掛けられた。
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