みんなの冷蔵庫(仮)2
車道に出て目でタクシーを探しながら、頭では別のことを考えていた。

橋で見た、幼いシオ少年のことを。

上半身裸で、それによりハッキリと見て取れる、顔と腕以外に無数にできた痣や火傷の跡。

目を逸らしたくなるほど、生々しく、付けられて日の浅い傷や痣もあった。

それでいて助けを求めるのではなく、縄張りを守る野犬のように鋭い眼光。

あんな目をした子供はそうそういるもんじゃないのに。

なのに、彼に言われるまであの橋でのことをすっかり失念していた自分が腹立たしい。

なにより彼が今こうして事件に関与していることが、一番残念でならない。

俺の罪なのではないかと感じる。

いや、俺の罪なのだろう。

彼は――俺も憎んでいるのだろう。


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