みんなの冷蔵庫(仮)2
――汐田荘司は10歳の時に母親に殺されかけた。

サッカーが得意な子供だったと聞いていた。
明るくて活発な子供だと。

夏休みの最後の日、母親に殺されかけて

身を守るためにカッターで母親を刺した。


返り血を浴びたシャツを脱ぎ捨て

駆けて駆けて

あの橋で立ち止まったのだろう。

後ろから追いかけてきた大人に、そっと肩を叩かれる。

それを、俺は確かに見たのだった。

その後すぐ、俺は一命を取りとめた彼の母親の病院へ向かったので、橋でのほんの一瞬の出来事は記憶が薄れてしまっていたようだった。



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