みんなの冷蔵庫(仮)2
「冷蔵庫って例え、本当に素晴らしいと思います」


ナメクジはじりじりとナメクジっぽく、私の側までにじり寄ってきた。


「冷蔵庫って、外から開けたり閉めたりは簡単でしょ。でも中に自分が入って、そこから押し開けて出てくるのはとても難しい」


ナメクジはそっと遠慮がちに私の膝の上に乗る。

なぜかそんなに嫌な気はしなかった。


「ついうっかり廃棄された冷蔵庫の中に入っちゃったことがあるから、わかるんですよねー」


そう言うと、ナメクジは私を見上げてくる。


「やってみますか?」

「え?」

「難しいけど、できるかもしれない」


そう言うと、ナメクジは私の肩にひょいと飛び上がった。

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