みんなの冷蔵庫(仮)2
「あんたの彼女だってうろついてたじゃん」


野崎さんが腕組みしてそう言うと、佐田さんはふっと鼻で笑った。


「彼女は強いから大丈夫です」


確かに強いと思う。いろんな意味で。

でも、そんな風に言い切れるって何か不思議な感じがした。
きっと付き合いも長いんだろうな、と想像もついた。

いちいち自分の傷口を広げるような妄想を繰り返してしまう。
私ってこんなに暗い女だったっけ?
恋ってこんなにマイナス思考の連続だったっけ?


「さ、早く帰りましょう」


佐田さんは私達の全てを許すかのように、優しく目尻を下げて微笑んだ。

その笑顔はあったか過ぎて、苦しかった。


< 49 / 354 >

この作品をシェア

pagetop