みんなの冷蔵庫(仮)2
急に分厚いガラスで区切られたように、遠く感じる向こう側――野崎さんと佐田さんを、激しい目眩と動悸に襲われながら見る。

佐田さんは斜め上にむかってゆっくり煙を吐き出しながら、うーんと低く唸った。

かといって別に困っているというでもなく、自分でも分からない、そんな感じで。


「さぁ……彼女、当分結婚はしたくないらしいですから」


佐田さんの声が頭の中でボールのように何度も弾んで、薄い薄いガラスみたいに淡い期待を次々に砕き割っていく。

そうだよね。
やっぱり私の入り込む隙間は少しもない。



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