みんなの冷蔵庫(仮)2
分かっていたけど、たったさっき思い知ったばかりだけど、どうしてこんなに胸は痛むんだろう。

今更また落ち込むなんて馬鹿みたいなんだけど。
馬鹿みたいに落ちこんじゃう私がいて。

揃えた太ももの上に乗せた両手の親指をぐるぐると回しながら、閉じると落ちてきてしまいそうな雫が乾燥するように、必死でまぶたを限界までこじ開けていた。


野崎さんはイラついたようにゴシゴシと灰皿にタバコを押し付けると、佐田さんを斜めに見上げた。


「佐田さんは頼りがいあるし、ああいう気の強そうな女の尻に敷かれるより、年下のかわいい子の方が合ってるんじゃない?」


佐田さんは口元に添えていたタバコを挟んだ指を離し、目を細めて野崎さんの方へ上体を向けた。




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