みんなの冷蔵庫(仮)2
「私知らない……本当に何も知らない……」


野崎ちよみはうわごとのようにそう繰り返すと、涙でいっぱいの瞳ですがるように見上げてくる。

こうなると僕の怒りも一気に消沈する。


「逆に何なら知ってる?」

「屋敷に見た事ない人が来たらすぐに教えてって言われただけよ」


野崎ちよみはやけっぱちのようにそう言うと、とうとう泣き崩れた。


「トキちゃんは人を襲ったりなんか絶対しない! すごく優しい人なの……」


テーブルに突っ伏して泣く彼女のうなじを見て、彼女もまた被害者の一人なのかと思う。




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