【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
***

守護者たちが見回りを一段落させて戻ってくると、居間で術式を組んでいたはずの露李の姿が見えなかった。


「あれ。あいつどこ行ったんすかね」


疾風が他の四人を振り返って首を傾げた。


「まーとりあえず探すしかねーだろ?」


さもめんどくさい、と言いたげな結だが目だけは心配そうに辺りを見渡している。


「無事だと良いんですけど…」


「縁起でもねぇこと言うんじゃねぇよ」


静の呟きに理津が噛みつく。

文月はそのやりとりを聞きながら黙ったままだ。


「こっちから露李の匂いがする」


唐突に理津が一方向を見た。

お前は犬か。

そう突っ込みたいところだったが、四人は無視して走り出した。


「どうしてこんなとこに?」


大きな書庫の扉が半開きになっている。


結が一瞬目をつぶり、すぐに開いて首を傾げた。

翡翠の目に戸惑いの色が浮かぶ。


「結界が消えてる」


「結界?そんなもん張ってあったか?」


「すげー巧妙に隠してあったけど、風花姫の封印だよ。でも…あれは神影の力をぶつけないと開かないんじゃなかったか…?」


結の独り言のような言葉にその場にいる全員が一様に首を捻った。

そんな話自体を聞いたことが無かったからだ。


「でも、まあ。開いてるんですし露李先輩探しましょうよ」


「世話が焼けるヤツだな」


「ヒヤッとするじゃねぇか」


静、疾風と理津が安堵の表情を浮かべる中、結だけは難しい顔をしている。


「結、どうしたの?」


「…や、何もねーよ」


文月が結を窺うが、結は表情を変えないまま答えた。


何もないようには見えないけどね。


そう思いながらも前を向く。

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