【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
思いのままに歩いていくと、一つの書棚の前に着いた。
手に持っている本も脈打つような感覚がある。
身体が勝手に動いた。
手がすっと伸び、本を一冊抜き取る。
「これ……」
露李が持っている本と同じ本だった。
しかし、大きさが違う。
一回りほど大きく、表紙に四角い穴がある。
どうやら最初に見つけた本と今見つけた本は対になっているらしい。
「露李ちゃん、やめときな。何か分かんないけど気を感じるよ」
文月の声も耳に入らない。
分かっているかのように身体が動く。
四角の穴に本を差し込んだ瞬間───露李の身体が傾いだ。
「露李!!」
五人が駆け寄るが、すぐにゆらりと立ち上がる。
露李の顔を見て、息を飲んだ。
目が金色に染まっている。
「花姫の生きしとき、邪の者が現れた。両者は愛し合い幸福な時間を過ごしていたしかし邪の者は気づいた。花姫と自分を取り巻く全てのものを滅ぼさねばならないと、それが邪の者の考え方だった。花姫は陽、邪の者は陰。邪の者は世界を焼いた。死ねば良い、死ねば良いと思ううちに狂気が目覚めたそして花姫を裏切った、花姫は邪の者から送られた花霞に邪の者を封印した。邪の者の狂気は鎮まることなく花霞の中で生きている、花霞は邪
の者の魂そのもの」
息継ぎ一つない。
「露李」
呼ぶが、答えない。
「邪の者の名を、霧氷。封印された今でも花姫を探し求めている。封印された怨念が、花姫を襲う」
「露李先輩!」
静が術を使おうとすると、結が手振りでそれを止める。
「どうしてですかっ!これ、露李先輩じゃないじゃないですか!」
「下手に攻撃するな。向こうから殺気感じたか?露李を傷つけることになったら洒落になんねーぞ」
「風花姫を守る者。朱雀家、風雅家、水鳥家、知恩家、大地家」
「俺たちのことだな」
理津が呟いた。
「花霞は、花姫を取り込もうとした。花姫の第一守護者、月草。花霞は月草の魂を贄に鎮静している。魂を貪り食らい風花姫が封印を施すことで均衡が成り立っている、よって花霞の封印が解かれた時、風花姫の力が及ばぬ時──月草の血をひくものが贄となり、再封印せねばならない。」
贄。
その響きに悪寒が走った。
「月草の血を引く者──」
「っやめろ!!」
突然結が叫んだ。
血相を変え、露李の手から本を奪い取ろうとする。
「何してるんだよ結!」
「俺はっ、」
文月が結を抑えた。
「魂を捧げ、贄となる者──それが風雅家の頭領である」
空気が、一瞬で静まった。
結は足掻くのを止め、俯いた。
守護者たちが結を呆然と見つめている。
露李がまた傾いだ。
瞳の色が元に戻る。
「そんな…」
露李が目を見開いて結を見つめる。
金色の髪に隠れて、表情は見えない。
手に持っている本も脈打つような感覚がある。
身体が勝手に動いた。
手がすっと伸び、本を一冊抜き取る。
「これ……」
露李が持っている本と同じ本だった。
しかし、大きさが違う。
一回りほど大きく、表紙に四角い穴がある。
どうやら最初に見つけた本と今見つけた本は対になっているらしい。
「露李ちゃん、やめときな。何か分かんないけど気を感じるよ」
文月の声も耳に入らない。
分かっているかのように身体が動く。
四角の穴に本を差し込んだ瞬間───露李の身体が傾いだ。
「露李!!」
五人が駆け寄るが、すぐにゆらりと立ち上がる。
露李の顔を見て、息を飲んだ。
目が金色に染まっている。
「花姫の生きしとき、邪の者が現れた。両者は愛し合い幸福な時間を過ごしていたしかし邪の者は気づいた。花姫と自分を取り巻く全てのものを滅ぼさねばならないと、それが邪の者の考え方だった。花姫は陽、邪の者は陰。邪の者は世界を焼いた。死ねば良い、死ねば良いと思ううちに狂気が目覚めたそして花姫を裏切った、花姫は邪の者から送られた花霞に邪の者を封印した。邪の者の狂気は鎮まることなく花霞の中で生きている、花霞は邪
の者の魂そのもの」
息継ぎ一つない。
「露李」
呼ぶが、答えない。
「邪の者の名を、霧氷。封印された今でも花姫を探し求めている。封印された怨念が、花姫を襲う」
「露李先輩!」
静が術を使おうとすると、結が手振りでそれを止める。
「どうしてですかっ!これ、露李先輩じゃないじゃないですか!」
「下手に攻撃するな。向こうから殺気感じたか?露李を傷つけることになったら洒落になんねーぞ」
「風花姫を守る者。朱雀家、風雅家、水鳥家、知恩家、大地家」
「俺たちのことだな」
理津が呟いた。
「花霞は、花姫を取り込もうとした。花姫の第一守護者、月草。花霞は月草の魂を贄に鎮静している。魂を貪り食らい風花姫が封印を施すことで均衡が成り立っている、よって花霞の封印が解かれた時、風花姫の力が及ばぬ時──月草の血をひくものが贄となり、再封印せねばならない。」
贄。
その響きに悪寒が走った。
「月草の血を引く者──」
「っやめろ!!」
突然結が叫んだ。
血相を変え、露李の手から本を奪い取ろうとする。
「何してるんだよ結!」
「俺はっ、」
文月が結を抑えた。
「魂を捧げ、贄となる者──それが風雅家の頭領である」
空気が、一瞬で静まった。
結は足掻くのを止め、俯いた。
守護者たちが結を呆然と見つめている。
露李がまた傾いだ。
瞳の色が元に戻る。
「そんな…」
露李が目を見開いて結を見つめる。
金色の髪に隠れて、表情は見えない。