【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

立つことさえままならないような衝撃の中、露李は前に進もうとしていた。

術のかけられた本たちが落ちてこないことが救いだ。


「露李さま!!失礼ながら、貴女が今行ってどうするおつもりですか!!」


海松が必死に露李の手首を掴んで引き止める。


「皆が戦ってるのに、待てないから。それに」


露李はポケットから五色の札を取り出して、少し見つめてから言った。


「これもある」

「それは文月さんたちが不在のとき用のお札です!その力は守護者の皆さんから一時的に借りて使うものです、戦場でそれを使えばどうなるか、ここまで言ったらお分かりでしょう!?」


つまり、彼らから妖気が抜かれる。弱くなるのだ。


「この前は違ったじゃない」


露李の言葉に海松はぐっと言葉を詰まらせた。

「あれは…あれは私にもよく分からないので、使ってはいけません!」


「そう。それじゃ、私にはもう切り札が一つしか残ってないんだ」


少し寂しげに呟いた。

自分が雹雷鬼を呼び出せばもう元には戻れない。


「大丈夫だよ、海松ちゃん」


海松はそのまま去ろうとする露李をまた引き止めた。


「私もご一緒させて下さい」


露李は少し驚いたような顔をしてから優しく微笑む。


「うん。行こう」


振動の連鎖が終わった。


二人は急いで森まで走る。


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