【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「我々もそう時間があるわけではない。ここで交渉決裂すれば、力ずくで奪うことになるが良いのか?」
星月夜が前に一歩踏み出した。
睡蓮がヒュッと口笛を吹く。
「星月夜、なんか今日やけにやる気だなぁ?」
「ふざけてんじゃねぇよ、てめぇら前からやる気だったじゃねぇか」
理津は睨んだまま吐き捨てた。
「確かにこの人たち交渉する気さらさら無いよねー」
薄く笑う文月は氷点下の眼差しだ。
「それじゃあ決裂ってことで構わないのね?」
「ここでは負けるだけだというのに、無様だな妖怪」
妖怪、という星月夜の言葉に全員がぎりっと歯を食い縛った。
小さな頃から奇妙な力を誰か部外者に見つかっては『妖怪』『化け物』と言われてきた。
その度に風花姫であった未琴や一族の者たちが見た者の記憶を消した。
しかし当人である守護者たちの記憶は消されることなく、今までと変わらない態度の“元”友人に苦い思いをしたものだ。
五人の身体に炎が灯る。
感情が大きく動くと妖気が放たれるのだ。
「交渉決裂だな」
星月夜が、地面に拳を叩きつけた。