【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
一気に鎖がほどけるのが分かった。

眩しい光の中で瞼を開ける。



「どうして邪魔するのかな、露李ちゃん」


水無月がにこやかに訊いた。

手に持つギロチンまがいの刃物と、露李の持つ刀がギリギリと押し合っている。

銀色の長い髪が、風に揺れた。


「私が、皆を守りたいからです」


それしか答えはない。


「君一人で守りきれるとでも?幸せだね、守るって大義名分だけなら立派だよ」


「貴方に褒められるために守るわけじゃありません。私は私の意思で動いているんです」


「へぇ、じゃあこっちもあいつらを守らなきゃならないよね」


その言葉に露李は辺りを見回した。

星月夜、宵菊、睡蓮そして秋雨が銀色の光で縛られている。


「これ、私が」


「そうだよ。ねぇ──こんな醜いやつらのために、何で君は傷つこうとするのかな」


それは独り言に近い言葉だった。

だが、それも露李の怒りを煽るには十分だった。


「醜くなんてない!!」


ガキィンと金属音が響くと共に、水無月の身体が数メートル飛ぶ。

綺麗に着地はしたが、意外だという表情が隠せなかった。


「──おかしいな。あのとき全部力を奪ったはずなのに」


「何を、言ってるんですか」


雹雷鬼を構えたまま、水無月に尋ねる。


水無月は露李を見つめて柔らかく笑った。

不思議と今までのような冷たさはなかった。



「露李ちゃんと俺は、対になってるんだよ」


「何を、」



水無月の目に、嘘はなかった。









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