【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「対だなんておかしいです。私に双子はいません」
真剣な眼差しに動揺しながらも、努めて冷静に答える。
「やだなあ、そういうことじゃないんだよ、露李ちゃん。俺が言ってるのは魂の話だよ」
たましい。魂。
一瞬理解できなかった。
何の話だと水無月を見据える。
魂が対になっているなんて聞いたことがない。
「君の力が何故こんなにも弱々しいのか、考えたことないの?」
「あるに決まってるじゃないですか!」
流されるなと強く思っているのに反発してしまう。
「俺がさ、吸い取ったからだよ」
「吸い、取った…?」
その場にいる者の目が大きく見開かれる。
力を吸い取る、そんなことができるのかと。
「その剣術を誰に習ったか、露李ちゃんは覚えてないの?」
「これは…里で会った、氷紀兄様に…」
ひのりにぃさまー、と泣いていた露李を思い出しながら、水無月は笑った。
「まさか、貴方…」
「やっと思い出してくれたかな?」
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『うっ…うぅ…』
『君、どうしたの?大丈夫?』
『手が、痛いの』
少年は少女の手首を見た。
生々しい赤いアザがくっきりとついている。
『これ…』
絶句するような同じアザが足首や首にもあった。
『私の金の目が怖いから、私の銀の髪が怖いから。皆が捕まえに来るの』
少年は顔をしかめた。
『そうか、君は雑魚たちにいじめられてるんだね。かわいそうに』
『雑魚?』
『君を、楽にしてあげる───』
少年の手が少女にかざされた。