【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「行ってらっしゃいませ、露李様」
「行ってくるね、海松ちゃん!」
「俺らには言わねーのかよ海松ー」
「あなた方のお顔は腐るほど拝見してきましたので」
言葉はともかく、相変わらずの上品な笑みに送り出され、出発。
風雅家までは大分あるらしい。
自転車は七人分もないし、車は学生なので無免許だ。
ということで歩き。
この人員での身体能力でなら計り知れない速さで行けるかもしれないが、無闇に能力を使うつもりはない。
「ねー疾風ー、本当に何にも持って来なくて良かったの?歯ブラシとか、パジャマとか」
手をパタパタさせて露李が尋ねる。
泊まりに行くとは思えない身軽さに違和感がして仕方がない。
「ああ、良いんだよ。姫様直々のご挨拶だからな、向こうに用意させる」
疾風の頭領としての言葉に頷くも、居心地悪そうに身じろぎする。
「私、そんな偉ぶるつもりないんだけど…」
「偉ぶってなんかねぇよ。むしろもっと威張れ」
「えー…」
慣れない。
「じゃねぇとナメられっぞ?どうなるか分かんねぇよ、野郎が何人いると──」
「理津。露李ちゃんの耳が腐るから止めよっか」
ゴス、と鈍い音がしたのは気のせいだ。
「お前ら、着くまでに死ぬなよー?」
「物騒なこと言わないで下さい結先輩!」
「ハハッ」
「いや洒落になりませんからね!」
「まあまあ露李先輩。ほのぼーの行きましょう、ほのぼの」
「静くんが言うなら」
「おい!」
仲良さげに歩き出した静と露李に突っ込む結。
「露李ー。今日はどうする?一緒に寝ようか、久しぶりだね」
「氷紀兄様と寝るの久しぶりだね、そういえば」
「ダメに決まってるだろ馬鹿」
心底嬉しそうな露李と水無月だが、疾風が即座に否定した。
他の面々もうんうんと頷く。