【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「…着いた」
何やら荘厳なオーラが漂う屋敷だ。
「何か、あれだね。大きいし、ピリッとしてるし、旧家って感じだね」
まるで緊張感が感じられない感想に他六人ががっくりと肩を落とす。
「お前なー…もっと、こう。緊張しろとは言わねーけど、何か感じろよなー」
「え。だって、結先輩のお家じゃないですか。まあ、何か強い念とか妖気も感じますけど」
「露李ちゃん、何ともないの?」
文月の心配そうな顔に、露李は首を傾げる。
「何ともないですよ。多少、どす黒いのを感じるくらいで」
けろっとして答えると、水無月以外の全員が目を見開いた。
──小さいときから、こういう子だとは思ってたけど。
水無月も内心、舌を巻いていた。
一番大事なことや、自分のことは決して言わない。
反面、聞かれたら本当のことを答える。
変に真面目なのだ。
そして今も、良くない感情が自分に対して向けられているという可能性も承知しているのだ。
「どうして言わなかった、露李」
疾風が咎めるように口を挟む。
「いや、そんないちいち感じた気を言ってたらきりないし」
「それにしてもだな…邪気ならまた別だろう」
強さを宿した微笑みで、露李は彼を見返す。
「だって恨まれない訳がないし、仕方ないと思って」
「それは違ぇだろ。お前は何もしてねぇよ」
理津が腑に落ちない、といった様子で腕を組む。
「ううん、神影家として沢山の命を失わせたことには変わりないから。使命のためって言っても、風花姫が守護者を犠牲にしてきた。それぞれに家族がいるのに」
何を思うわけでもなく言ってのける彼女に水無月は得意気な顔をした。
「本当にお優しい方ですね、先輩は」
「え!?」
嬉しそうに言う静に、少し照れて視線を逸らした。
「そうだ、露李を敬え」
「誰だよお前はよ!」
これまた誇らしげに声を上げた水無月に結が鋭いツッコミを入れ、皆で笑う。
「よし、行くぞー…」
気を引き締めた結が、戸を押した。