【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
***

はて。

ここはいつから極道の家に。


座敷のいわゆるお誕生日席の区画には露李と水無月、守護者たちが座り、その右手には朱雀家、水鳥家、風雅家。

左手には大地家と知恩家の一族が、それぞれ当主を先頭にして座っている。

守護者たちは露李を真ん中にして座る。

後から聞いたのだが、一族随一の能力者である頭領が姫の守護職に就き、二番目の能力者が当主になるらしい。


ほとんど不在の頭領に代わり、実質的に家を切り盛りするのは当主だということだ、と文月が説明してくれた。

座っているだけだというのに威圧感溢れる光景。

運ばれてくる食事の数も半端ではない。


「では、報告を…」


文月が切り出そうとすると、忍が嫌そうに唸った。

熊のようだ。


「何ですか、父上」


「文月ー。堅ぇぞお前まで」


なぁ?と同意を求められる。


「露李ちゃん、答えなくて良いよ。あの人はずっとああなんだから」


水無月は、隣に座る露李が無表情なことに違和感を抱いていた。


「露李、どうかした?」


尋ねられるも、人形のように微笑みを顔に張り付けたままだ。


「ううん──」


笑顔という名の無表情、といった感じだ。


「露李、どうかしたのかー?」


軽く尋ねる結だが心配そうだ。

じっと刺さる疾風の視線。






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