【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「襲撃?襲撃があったなんて報告は一度も来ていません」
「関与しようとしなかったのはそっちだろうが」
理津の言葉にピクリと眉を上げた。
「襲撃があったって報告した所で、てめぇは関わろうとしないじゃねぇか。つーか皆が根絶やしにならねぇために当主と頭領を分けたんだろ」
「私たちを臆病者だと?」
「誰がそんなことを言った」
言いたいことが伝わらない。
しかしそれよりも、秀水の様子がどこまでもおかしいということが守護者たちの考えを占めていた。
「お前らしくないぞ、秀水」
忍がとりなす。
「理津が言っているのはそういうことでしょう」
「違ぇっつってんだろ。…守護者になった時点で、必要最低限のこと以外は関わらない。ほぼ絶縁状態だって俺に言ったのはあんただろ?」
傷ついたような表情で理津が吐き捨てる。
「私は、」
「やめて下さい」
静かな露李の声が割り込んだ。
「当主、報告が遅れたことは私からも謝らせていただきます。──が」
「…姫様」
「襲撃により、母と同じように私も昏睡状態に陥っていたのです。そして、目を覚ましたのも水鳥頭領はじめ、守護者の皆様のお力あってのこと。これは風花姫である私の失態であり、母を巻き込んだのも私に責任があります」
少し間を空けて、露李は全体を見渡した。
そこにいる誰もが彼女の次の行動を予測しているようだった。
だが言葉を紡ぐことができない。
その風花姫のオーラに全ての者が圧倒されていた。
「お、お止めください、姫様っ」
静が上ずった声を上げるものの、露李はそちらに軽く目をやり微笑むだけで、また前を向いてしまった。
「本日は今までの報告を兼ね、参りました。そして今回の失態の責任は全て、この私にあります。皆様──申し訳、ありませんでした」
今まで皮肉な笑みを浮かべていた秀水までもが目を丸くして露李を見ていた。
「そんなことを言われたって未琴は──」
「水鳥 秀水」
それまで沈黙を守っていた水無月が口を開いた。
「これ以上、我が主に何か言うのであれば貴様を容赦なく殺す」
「なっ、」
「秀水。お黙りなさい」
詩衣が冷たい声で制した。
そして、結の方を見る。
「報告は後だ。風花姫を別室へ通す。──行くぞ」
最後の言葉は露李たちに向けられたであろう、それぞれ立ち上がる。
昼食もそこそこに七人は部屋を出た。