【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
**
「…露李、悪かったな」
「何が?」
分かっていることだろうに、露李は笑顔で理津に尋ね返した。
「あんな─風花姫のお前に謝罪なんか」
「別に良いよ。当たり前のことだし」
理津が一番気にしているのを理解しているからだろう、他の面々は何も言わない。
「仕方ないよ。母様、慕われてたみたいだし。普通動揺するって」
「…けど。お前を殺そうとした奴だぞ。お前が謝罪なんざする必要無かった。頭領の俺がやらせたのと変わんねぇ」
「どうしようが、私には母親だったもん。今までのことも含めても、恨めないよ。勿論、氷紀兄様のことだって恨むつもりは無いよ」
「でもっ、」
なおも食い下がろうとする理津に、露李は大げさなため息をついた。
「あーうるさい。私が良いって言ったら良いの!気にするな!」
心底煩わしい、という顔で見るので、見られた本人は戸惑いの表情を浮かべる。
「そういう奴だよ、露李は。な、理津。おとなしく引き下がっとけー。後が怖いぞー」
結がニヤリと笑って沈黙を破った。
自分より高い所にある頭をついでにべしっと叩いておく。
「って!」
「ちょっと結先輩!さっきの台詞、聞き捨てならないんですけど」
「まあまあ、露李先輩」
いつものように話している三人の横で、疾風と文月は理津を励ましていた。
「…理津。お前は残念な頭の構造をしているが、良い残念さだ。十八禁さを抑えつついつもの調子でいてくれ」
「やだなあ疾風。理津が十八禁なくしたら個性ゼロだよ?」
「てめぇら好き勝手言いやがって…」
内容は微妙に優しくないが。
「水無月も、悪かった」
珍しくだんまりを決めこんでいた水無月にも理津が詫びをいれた。
しかし水無月は全く微動だにせず、ただ結と言い合っている露李を眺めている。
「…水無月?」
「話しかけるな。先ほど露李に逆らう、さらに謝らせるという禁忌を犯したゴミ、いやゴミクズを見たせいで目が腐った。ついでに耳も腐った。よって今、露李を見て聞いて浄化している」
「あ、ああそうかよ…」
「自分の身分もわきまえずに喚く輩は放っておくのが一番良い。この言葉を貴様の飾り同然な極小の脳に刻みこんでおくがいい」
水無月はそこまで言うと、馬鹿にしたように鼻で笑った。
「それでも奴の言葉が拙くて伝わらない場合は、この俺が今一度懇切丁寧に通訳してやろう。可哀想な頭をした貴様のためにな」
「理津、理津。水無月はねー、『お前に逆らう奴は気にするな。もしまたさっきみたいなことがあったら俺がどうにかしてあげるよー』って言ってるんだよー」
「大地、やかましいぞ。露李の声が聞こえない」
「はいはーい」
水無月にはおよそ似合わない口調で文月が通訳すると、理津は照れ臭そうに水無月の横顔を見た。
「ありがとう」
「貴様の頭が残念すぎて哀れになっただけだ」
どこまでも素直でない水無月だった。
「…露李、悪かったな」
「何が?」
分かっていることだろうに、露李は笑顔で理津に尋ね返した。
「あんな─風花姫のお前に謝罪なんか」
「別に良いよ。当たり前のことだし」
理津が一番気にしているのを理解しているからだろう、他の面々は何も言わない。
「仕方ないよ。母様、慕われてたみたいだし。普通動揺するって」
「…けど。お前を殺そうとした奴だぞ。お前が謝罪なんざする必要無かった。頭領の俺がやらせたのと変わんねぇ」
「どうしようが、私には母親だったもん。今までのことも含めても、恨めないよ。勿論、氷紀兄様のことだって恨むつもりは無いよ」
「でもっ、」
なおも食い下がろうとする理津に、露李は大げさなため息をついた。
「あーうるさい。私が良いって言ったら良いの!気にするな!」
心底煩わしい、という顔で見るので、見られた本人は戸惑いの表情を浮かべる。
「そういう奴だよ、露李は。な、理津。おとなしく引き下がっとけー。後が怖いぞー」
結がニヤリと笑って沈黙を破った。
自分より高い所にある頭をついでにべしっと叩いておく。
「って!」
「ちょっと結先輩!さっきの台詞、聞き捨てならないんですけど」
「まあまあ、露李先輩」
いつものように話している三人の横で、疾風と文月は理津を励ましていた。
「…理津。お前は残念な頭の構造をしているが、良い残念さだ。十八禁さを抑えつついつもの調子でいてくれ」
「やだなあ疾風。理津が十八禁なくしたら個性ゼロだよ?」
「てめぇら好き勝手言いやがって…」
内容は微妙に優しくないが。
「水無月も、悪かった」
珍しくだんまりを決めこんでいた水無月にも理津が詫びをいれた。
しかし水無月は全く微動だにせず、ただ結と言い合っている露李を眺めている。
「…水無月?」
「話しかけるな。先ほど露李に逆らう、さらに謝らせるという禁忌を犯したゴミ、いやゴミクズを見たせいで目が腐った。ついでに耳も腐った。よって今、露李を見て聞いて浄化している」
「あ、ああそうかよ…」
「自分の身分もわきまえずに喚く輩は放っておくのが一番良い。この言葉を貴様の飾り同然な極小の脳に刻みこんでおくがいい」
水無月はそこまで言うと、馬鹿にしたように鼻で笑った。
「それでも奴の言葉が拙くて伝わらない場合は、この俺が今一度懇切丁寧に通訳してやろう。可哀想な頭をした貴様のためにな」
「理津、理津。水無月はねー、『お前に逆らう奴は気にするな。もしまたさっきみたいなことがあったら俺がどうにかしてあげるよー』って言ってるんだよー」
「大地、やかましいぞ。露李の声が聞こえない」
「はいはーい」
水無月にはおよそ似合わない口調で文月が通訳すると、理津は照れ臭そうに水無月の横顔を見た。
「ありがとう」
「貴様の頭が残念すぎて哀れになっただけだ」
どこまでも素直でない水無月だった。