【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「そうなの?」
歩く度に揺れる疾風の髪に見とれてしまう。
「ああ。この家…っというか、守護家全般なんだけどな。中で力が使われないように術がかけてあるんだよ」
「えっ」
それは初耳だ。
「それ、神社にもかければ良いんじゃない?」
思いつきでそう言うと、また疾風はため息をついた。
「何でだよ。あそこは襲撃とか、封印とかで力使うだろ。手間だし効率が悪い。ここは人数が多いからだ。争いを避けるためにかけてあるんだぞ」
「ああ…」
「馬鹿」
うっ、と大袈裟に呻いてみる。
否定できない。
「それから、術をかけたのは風花姫たちだ。だから──そうだな、今、力を使えるのは俺たちと当主だけなんじゃないか?」
「へえ…」
「当主だって相当きついはずだぞ」
すごいんだなあ、と頷く。
と、一行が立ち止まった。
「ここだ。しばらく入ってねーから埃っぽいのは我慢な」
結が前置きしてから中へ入る。
何だかワクワクしながら露李も続く。
「わ…」
結の部屋は一面が星空で覆われていた。
星座のポスターや、家庭用プラネタリウムの装置。
「…何だよっ、早く笑えよ」
腰に手を当ててそっぽを向く。
「笑えませんよー!すごく綺麗じゃないですか!」
何やら空中に雲と星も浮いている。
「─あー。これ、まだ残ってたんだな」
理津がそれに少し指で触れ、呟く。
「これ確か、結が星好きだからって理津が造ってあげたやつじゃない?誕生日に」
「いつのでしたっけ?」
「だいぶ前じゃないか?」
露李は興味津々で眺める。
「結先輩って案外ロマンチストですね」
「だっからお前、それを言うなと!」
「何故、恥じる?人間にしてはましな方ではないか」
誉めているのか貶しているのか。