【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「仕方ないですね…」


呟いた露李の気が険しくなる。


じわじわと迫る銀の気に恐れを為したか、秀水が身動ぎする。


「戦うしか選択肢は無い、ということですね?」


水無月と疾風がびくりと肩を揺らした。


口元には笑みを浮かべているが、露李から発せられる気は怒りに塗れている。


「ダメだよ、露李」

 
「分かってるよ」


何を分かっているつもりなのか、と問いたげに水無月がこちらへ視線を向ける。


「出でよ、雹雷鬼!」


露李が胸に手を当て─眩い銀の光が放たれる。

再度見えるようになったときには、その手に刀が握られていた。

しかし、髪と目は変わらない。

悪戯っ子のような顔をする露李に、お見事、と呟いた。


「行くよ、二人とも!」


「仰せのままに!」


目の前の獣に突っ込む。


─秀水さん。お願い、皆を傷つけないで。


絶えず祈りながら、彼に届くように。


本当は誰も傷つけたくないのに。


私はまた、刀を取る。

そして─斬りこんだ。


【ぐああ…っ】


呻き声が脳に響く。


「怯むな、露李!」


疾風が拳を叩き込み、獣を後退させる。


「なかなかやるな、朱雀」


「ありがたいお言葉だな!」


後退した獣にさらに近づくため、高く跳んで距離を詰める。

綺麗に着地し、拳を振り上げる。


「何であんたが…!」


【はや…】


疾風の目が見開かれる。


「やはりお前は弱い─」


グサリ、と生々しい音がして、獣の胸から刃が飛び出した。

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