【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

くつくつと、さも可笑しそうに笑うその姿に恐怖を覚える。

後ろに立つ秋雨たちは何も言葉を発しない。

ただただ諦めたように、静かに、労るように有明を見つめている。


「私は面白いことが好きなのだよ。そいつらのような感情のある者たちが、己の想いによって果てていく姿は本当に─面白い」


「最悪な趣味だね、ババア」


かつての仲間に吐き捨てられた言葉さえ光栄だと、彼女は受け止める。


「どうして、とな。言っただろう?露李姫の力で、花霞を解放する。そして、霧氷をも解放する。これが私の望み。望まない世界は全て…焼き尽くせば良いのだ」


「どうしてそんな!!」


露李の叫びは一笑に付された。

 
「面白いから、そして気に入らないからだ。こんな世界、滅びてしまえば良い。そして花姫の魂を感じる露李姫もまた──死ねば良いのだ」


死ね、とこんなに直載に言われたことは無かった。

こんな苦々しげに言われたことはなかった。


「どうだ、朱雀。苦しかろう?足掻いてみろ、叫べ。私の退屈しのぎにくらいは、」


「うるさいっ!!」


有明の悦に入った言葉を遮り、遥か上空を睨みつける。

仲間をこれ以上愚弄される覚えはない。


露李の怒りがエネルギーとなって放出される。

ゆらゆらと立ち上る気。

すっと目が金色に染まる。


「ほう、美しい目をしているなぁ。なあ宵菊?」


「…そうですわね」


少し間を置いた答えに、違和感を感じた。

宵菊に迷いがある。


「有明様、今すぐ術を解いてください」


「無理だな」


断られると分かっていたが、ぎりりと歯を食い縛った。


「戦えと、仰るのですか。私に」


「勿論だ。決戦の時、だな」


有明がまた、艶やかに笑った。



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