【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「駄目だよ露李。力を使っちゃ!」
解放しようとすると、水無月に腕を掴まれた。
「どうして!?疾風がこんな苦しそうにしてるのに、見てるだけなんて嫌よ!」
「三対五だ!そのうち朱雀は戦えない。絶対的に厳しいし、俺が露李を守れる保証もあいつらと互角に戦える保証も無いんだ!」
「だからって見殺しになんか出来ないじゃない!私は戦える!戦える力を持ってるんだから!!」
「戦えるかと勝てるかは違うでしょ!!勝たないと意味がないんだぞ!」
水無月の言っていることは正しい。
正しいが故に、痛いのだ。
仲間をこのまま勝算で殺せるのか、と。
「だって…!」
「せめて風雅が来たらっ…」
水無月が悔しそうに足元の砂を蹴る。
苛立ちが隠せず、辺りに砂埃が舞った。
切迫した空気の中、また有明の笑い声が響いた。
「風雅、とな。こやつのことか?」
「え──」
有明が右手を掲げると、大きな水晶玉が浮かんできた。
月の光に照らされてキラキラと輝き、さながら宝石のようだ。
しかして、その球体に入っているのは─。
「ゆ、い先輩…」
「風雅…!?」
小柄な身体、金色の髪。
そこにいるのは紛れもない結だ。
──どうして。
どうして、こんなことに。
膝から崩れ落ちそうなのを、やっとのことでこらえる。
「何で、結先輩がそこに」
「とても面白かったぞ。露李姫の所へ行こうとすれば、こやつが引き止めおってな。ずいぶんと私も消耗したが、こんなのは小さなこと」
「そんな…」
「こやつは自分の値打ちがどれ程あるのか、分かっていないようだったな。しかして私が負の感情を強化していることにいち早く気がつき、己と仲間の身体に結界を張った。おかげで私の術と拮抗し、この様だ」
有明が暗に、他の守護者たちも手中にあるのだと言っていることは露李にも分かった。
そして、同時に勝ち目が無いことも。