【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「なら、私はまた…あの人を苦しめてしまったのだろうな」
前のように、と寂しそうに呟く。
そしてゆっくりと露李と目を合わせた。
切なさの色を含んだ瞳で小さく笑い、露李もそれに応える。
「露李姫…きっとこの先も、貴女は間違えることは無いと思う」
「間違えたくないものです」
「きっと大丈夫だ。あんなに…優しい守護者がいるからな。さきほど言われたのだ、『お前を傷つけると俺達の姫様が泣く』と。露李姫が優しいから、あやつらも優しくなれるのだろうな」
「彼等が、そんなことを」
「露李姫は優しいよ。優しすぎて、たまに泣きたくなった。…そして、分かったんだ」
有明は何かを口の中で唱え、すぐそばに人形の光を出現させた。
光の中から見知った顔が現れる。
「美喜!?」
「え。あ。え、え!?露李!?」
有明を見、露李を見。
辺りを見回すも、全く状況が分からないと難しい顔をする。
しかし露李は美喜が何か言うよりも先に、どこか怪訝そうに尋ねた。
「美喜、何か透けてない?」
そう言われ、美喜も自分の身体をぺたぺた触る。
まだ実体はあるようだ。
「私が憎しみに囚われ始めたのは、黎明を生み出してからだ。黎明──美喜が、私の最後の良心だったのだ」
有明がふわりと美喜の頭に手を置いた。
同じ顔の二人のその光景は異様で、だがなぜか美しい。