【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
笑ってしまってから、少し俯く。


後ろを振り返り、実体を持った美喜が倒れているのをじっと見た。

有明が雹雷鬼に吸い込まれた後、美喜は眠るように目を閉じたのだ。


「ごめん、露李。あいつら始末して来る」


そう言いながら水無月は露李に手を差し出す。

小さな頃、転んだときに助け起こして貰った記憶がふっと頭を過った。

真剣な顔で物騒なことを言い出す兄代わりにクスリと笑い、後ろを振り返る。

美喜が眠っている、その場所だ。


「ごめん、ね…」


「きっとこいつは露李に謝って欲しくないと思うよ」


静かに水無月がそう呟き、踵を返して結たちの方に歩いて行った。


「美喜…」


あんなに私を殺せと懇願していた美喜が、本当に私に謝って欲しくないなんてことがあるのだろうか。


どんよりと心を覆っていく不安に、露李はそっと目を瞑った。

どちらにしろ、美喜が目覚めるのを待つより他無いのだ。


< 299 / 636 >

この作品をシェア

pagetop