【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「疾風、あの。どっかって何処に」
あれから歩いてはいるのだが、どこもかしこも瓦礫だらけで人を寝かせられるような場所は見つけられそうにもない。
「…ちょっとは壊れてない所もあるだろ」
「そうね」
素直に頷いた露李を不気味だと言わんばかりに見やると、疾風は長い溜め息をついた。
また、露李の胸にちりりと恐怖が芽生える。
「露李、気持ち悪いからそんなオドオドするな。調子が狂う」
「ごめ、」
「だからそれも。お前、大人しいキャラとかとっくに作り物だってバレてるんだぞ。不気味でしかないからな」
「ちょっと、不気味って何」
聞き捨てならないことを聞いた。
ちょっと待て、と勢いに任せて疾風を見上げた。
─が、すぐにそのまま固まる。
見上げた先の彼が喉でくつくつ笑っている。
噛み殺そうと努力しているようだが隠せていない。
目を丸くして真っ赤になっている露李を面白そうに横目で見て、また笑う。
「タコ」
「誰が!?」
テンポ良く返ってきたことに安心しながら、疾風は自分の手をポンと露李の頭に乗せた。
「あんな顔するくらいなら怒っとけ。お前が煩くないとか…その、心配するだろ」
「何か腑に落ちない」
「何でだよ。露李の怒った顔も嫌いじゃないって言っただけだろ」
──うん。聞きようによってはすごいな。
苦笑いしてから下を向いた。
励まされてばかりだと、情けなくもあるけれど。
不覚にも嬉しかった。
「それ、知らない人が聞いたらすごい引くと思うよ」
「は?何でだ。普通だろう」
「普通ではないと思うけど。…ありがと」
これまた素直にお礼を言われ、少し動揺した。
たまに素直になられると心臓に悪い。
「別に。あ、ここ置けるんじゃないか」
誤魔化すように指差した疾風に、置くってな、と思いながら頷く。