【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「まぁだから、こいつに嫌われるとか馬鹿な心配してるんならやめとけ。無駄だ」
ぶっきらぼうに言ってのけると、すたすたと歩いて行こうとする。
さすがに美喜をそのままで置いて行く訳にもいかず、露李はあたふたした挙げ句、戦いの最中に脱げてしまっていた羽織をかけた。
「疾風!」
「どうした」
追いすがる露李に速度を合わせ、肩越しに振り返る。
「ありがとう!」
「…何か企んでるのか?」
「…ちょっと」
疾風の中の私ってどんななんだ。
もしかするととんでもない悪女なんじゃないだろうか。
「そんな悪巧みするなら片付け手伝え。先輩たちもやってるだろうし、秋雨たちはどうか分からないが」
「何か、結先輩と氷紀が手伝わせてそう」
ものすごく有り得そうだ、と想像してみる。
隣の疾風も同じことを思い浮かべたのか、顔を見合せ、吹き出した。
「───露李」
笑いが収まってから、疾風がごく自然に呼び掛ける。
「何?」
「ありがとうな。──お前のおかげで俺達は望まない姿にならずに済んだ」
「…何か企んでるなら、やめてよね」
一瞬、涙がこぼれそうになって背を向ける。
疾風の前を歩きながら露李は空を仰いだ。
救われたのは自分だ、と瞼を閉じた。