【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「…あ、謝らないで下さい。貴方たちは、有明様を信じてらっしゃったんでしょう?」
四人が目を見開いた。
許しを乞うつもりも無かったが、謝るなと言われるなとは思わなかった。
まして、星月夜は露李に直接危害を加え、他の者は露李の大切な人たち─守護者を手にかけようとしたのだ。
言葉選びに迷いながら、露李は確実に言いたいことを届けようとしていた。
「術で、心を染められていたことは聞きました。でも…それ以外は、貴方たちが有明様を信じてやっていたことでしょう?なら、謝らないで。じゃないと私も有明様も…誰も、信じられません」
驚いた顔で四人は押し黙る。
「姫様、」
宵菊の言葉に、露李はまた困ったように口を開いた。
「きっと何か有明様に救われたことがあるんじゃないかと思います。だから、貴方たちがやった酷いことは謝って然るべきですが、それを私だけに言うべきではない。でも、有明様を信じていたことを謝るのだけは、止めてください」
それから、と露李は少し明るい表情で彼等を見た。
「また前みたいに、名前で呼んでくれると嬉しいです」
隣で水無月がため息をついたのが分かった。
あーあ、と諦めたように笑っている。
「良いんだね、露李」
「うん。私も…皆がいなかったら何してたか分からないし」
それは本当のことだ。
感情に任せて刀を振るっていたことが今では恐ろしい。
「じゃあ秋雨くん。術を解こう」
「そうだな。…きっと有明様の術は、四鬼でないと解けない。本当は黎明もいた方が良いのだが、仕方がないな」
秋雨はそう言ってから顔をしかめる。
「…しかし、この魔の量では本領発揮は難しい」
水無月も露李も頷いた。
気を研ぎ澄ましている分、より敏感になってしまうのだろう。
良くないものが集まって来ているのが手に取るように分かってしまう。
三人は次々と迫ってくる嫌な記憶に耐えていた。