【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
よく分からない関係性の中で戸惑いが隠せないのはお互い様だ。
結が少し素っ気ない理由も、きっとそこにある。
「皆!」
守護者たちが話している所へ呼び掛ける。
五人が一斉に振り向き、笑顔を浮かべた。
「家の奴等が皆帰って来てるんだ。露李か?」
疾風が不思議そうに周りを見渡しながら尋ねる。
「うん!」
秋雨と水無月の説明をもう一度繰り返し、ねっ、と水無月を振り返って笑う。
水無月は守護者たちには絶対見せないような笑顔でそれに応えた。
「…水無月さぁ、もう少し俺達にもそういう柔らかい対応でも良いと思うんだけど」
文月が苦笑いで突っ込むが、途端に無表情に戻る彼に通じている気配はない。
「貴様らにそんな表情をする必要性を感じないからな、我慢しろ。この俺が優しくするのは大好きな露李だけだ」
案の定、見事な溺愛っぷりである。
「はぁ?別に好きになってくれとか言ってねぇだろ」
「露李ちゃんへのそれだったらすごい引くよねぇ」
文月と理津が、うえっと顔を見合わせた。
と、森の方から叫び声が聞こえてきた。
露李と水無月が身体を強ばらせる。
しかし、露李にはその声に聞き覚えがあった。
「疾風ーっ!!疾風どこだよー!!疾風!!」
「あにぃ…」
無意識なのか、恥ずかしがっていた呼び方で疾風が声の主を小さく呼んだ。
「景真さん!!」
露李が叫ぶと、真反対の方を向いて叫んでいた景真がハッとこちらを向く。
その形相は見たことも無い必死さで、何だか胸が熱くなった。
赤薔薇のような髪を振り乱し、やってくる。
「あ!!姫様!!疾風!!」
「カゲ兄!大丈夫だったんだな!」
「カゲ兄、良かった」
結と文月が声をかけ、息を切らしている景真を落ち着かせた。
景真は嬉しそうに顔を上げ、疾風を抱き締めた。
「あーー!お兄ちゃん心配で死ぬかと思ったよ!」
ありがとう結くんっ、ありがとう文月くんっ、と疾風の肩越しに景真が叫ぶ。
疾風は抱き締められながら固まっていたが、眉を寄せて何かを呟いた。
「え?何?何か言ったの疾風何て言ったの!?」
景真は目を真っ赤にして少し腕を緩める。
「……良かった、あにぃ」
声が震えていた。