【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

景真が目を見開き、ははっと笑う。


「ありがと!」


声が湿っていたのもお互い様だ。

露李は柔らかい笑みを浮かべながらその光景を眺めていた。

何歳になろうがどれだけ離れていようが、景真にとって疾風はたった一人の弟で、疾風にとっても景真はたった一人の兄なのだ。

ずっと二人だったと景真は言っていた。

疾風の容姿のこともあり、分かり合えるのはお互いだけなのだ。


「よっしゃ、俺らも当主探しに行くぞ」


結がそう言うと、景真が疾風を離して森を指差した。


「あ、結くん。詩衣さんたちならね、あっちだよ。君たちのこと探してるからもうすぐ来ると思う」


「え、カゲ兄何で知ってんだよ」


「一緒にいたから取り込まれるのも一緒だったんだ。あ、置いて来たんじゃないからねー?俺は、走ってきたから速いだけだよ」


だってあの人たち走るの遅いし、と笑う景真。


「もう結構いい歳した大人つかまえて、二十代の野郎と同等に走れとかすげー無茶だぞカゲ兄」


そう言いながら結は森の方へ歩きだす。

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