【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
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数時間後。

何とか見られる形まで家を修復し、守護家と露李、水無月と秋雨たちは風雅家の広間に集まっていた。

数時間で修復が済んでしまうのはこれも特殊と言えよう。


沢山の人々が居る中で、守護家で不在なのは秀水だけという、奇跡かはたまた何なのか、そこには妙に重い空気が立ち込めていた。


露李は上座から彼等を見渡し、風花姫モードに突入するべく深呼吸をした。


「改めまして、総会を始めます」


元々は風雅家の総会だが、もうそんなことは関係ない。

あれだけの一大事が起き、それを収束させたのは露李だ。

守護者そして水無月、秋雨たちを含めた幹部陣で話をしたかったが、そんな暇は殆ど無かったにも等しい。

鬼についての話は控えるべきか。

分からない。

でも、少なくとも巫女の里では鬼は卑しい悪という位置づけだった。


露李は考えながら口を開く。


「今回の襲撃事件についての報告を致します。…風雅家頭領」


そう告げると、結が立ち上がる。


「はい。…前回の襲撃─昨日に話したものだが、それの黒幕は有明という女であり、今回とも同様だ。有明は、俺達と同じく妖の部類になる。長い年月を生き、風花姫へ恨みを持ち、霧氷を解放することが目的だった」


ざわ、とその場が揺れた。


「──静粛に」


露李の言葉で静かになる。

すると、風雅家の中からそろっと手が挙がった。

何だか見覚えがある。


「宝。どうした」


「結様、その者は」


宝の視線の先には、秋雨たち。

結が一瞬、固まる。


「有明の部下だ」


今度はごうごうと非難の声が上がった。

お前らが何故ここにいる、秀水さんがいないのはお前らのせいか。

混乱して気が立っているのか、情け容赦もなければ分も弁えていない。

秋雨たちの表情が分かりやすく強張る。

言い逃れはできないし、するつもりもない。

だが、やはり辛いものがあった。


「やめなさい、貴方たち!はしたない!」


「当主様、でも!」


「やめろ、てめぇら」


「黙れ、話を聞け!」


当主やそれぞれ頭領たちが声を張るも、届かない。

ついには頭領を詰る者まで出てきた。


「貴方達はッ…何をしてたんだ!なんで何もしなかったんだ!」


誰かは分からない。

だが、言い出したら止まらない。


露李はぎゅっと拳を握った。


こんな所で、何故そんなことが言える?


心の中の何かが切れた。

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