【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
そんなの、何だ。
じゃああんたならどんな判断を下せた。
あの人たちがどれだけ苦しんで今生きてここにいるのか、あんたにどうして分かる。
「口を慎みなさい。…貴方は、前線で戦った経験がおありですか」
その青年の場所まで歩き、しゃがんで目を合わせる。
彼が目に見えて戦くも、後ろについていた水無月が小刀を驚くべき速さで突きつけた。
「…愚か者が」
水無月も苛立った声色だ。
「では今こうされて、何か避ける策はありました?」
ヒッと青年が息を飲む。
しかしその視線が小刀から風花姫に映ったとき、彼の目が見開かれた。
酷く悲しそうな顔だった。
哀れむでもなく、加えてさっきまで怒りだと思っていた彼女の表情があまりにも痛い。
悲しい。
ただその感情とはっきりとした失望の色が彼女の目に宿されていた。
「ひ、めさ…」
露李はくるりと踵を返し、元の位置に戻る。
水無月が睨みをきかせてからそれに従い、またその場は静けさで満ちた。