【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

少ししか時間は経っていないが、久しぶりに感じる自分の部屋を露李はしげしげと眺めた。

あまりにも沢山の事が押し寄せすぎて、頭の中がきちんと整理できていない。

恋仲にあった未琴と秀水、露李を恨んだ秀水。

そして露李はその秀水の命を奪い─有明は、守護者たちを下級魔に変えようとした。

だが彼等は今ここにいる。


──私が唱えた瞬間、皆の姿が変わった。


髪が銀色に、紋が肌に。

それはさながら、自分が鬼化したときの姿のようだった。

もしかして、自分の力が彼等を鬼に変えてしまったのではないのだろうか。

それによって守護者たちが元に戻ったとしても。

鬼に変えるなんて。


バサッと布が落ちる音でハッと我に帰る。

脱ぎかけていた羽織が畳の上に広がっていた。


「…あ。着替えなきゃ」


誰に言うでもなく呟き、着物を脱いでいく。

しかし、ある一点で手が止まる。

生々しい返り血が付いていた。


守護者たちのものと、有明のもの。


魔になりかけた守護者たちを本気で殺しにかかり、有明に封印を施した自分の手を見つめた。
 
力の譲渡といえど刀を突き刺したのだ、血がつくのは当たり前だ。



脳裏にあのときの光景が蘇る。


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