【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「あ、」
ポタリと畳の上に落ちた雫で、自分が涙を流していることに気がついた。
ずっと気を張っていたせいか、感情を置いてきたような気分になっていた。
しかし今になって。
守護者たちを手にかけた時が思い出され、身体が震えた。
怖い、いやだ、ごめんなさい、色々なものがない混ざって溢れてくる。
でも、あまり遅くなるわけにはいかない。
着替えて一段落したらいつもの部屋で報告などする手筈になっていた。
いつまでも現れなかったら優しい彼等は心配するだろう。
とめどなく流れる涙をそのままに、手早く着替えていく。
ニットとプリーツスカートという服装になってから着物をたたんで息をついた時。
「露李様」
襖の向こうから海松の声が聞こえた。
「海松ちゃん?」
「はい、海松でございます。その─何と言いますか、会いたくなりまして」
可愛いことを言ってくれるな、と思いつつ涙を拭き、入りなよと声をかけた。
遠慮がちに顔を覗かせ入ってくる。
「露李様が、泣いているように思われたので」
「え?そんなことないよ!」
「それは嘘ですわ、露李様」
海松は小さく笑う。
何もかも見抜かれているような眼差しに、嘘はつけなかった。
「露李様は以前、私を…お友達だと言って下さいました。ですから、おこがましいのも承知の上ですが─どうか私の前では我慢なさらないで下さい」
優しい微笑みにまた涙が溢れる。
「ありがとうっ…」
海松にすがり、露李は、はらはらと涙をこぼしたのだった。