【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「邪気に包まれたお前らが、露李を襲った。俺はお前らと同じように結界の中にはいたけど、暗示にはかからなかったからな」


「俺たちが、露李を襲った…?」


疾風が悲痛な表情で聞き返す。

否定してくれとでも言うような眼差しにから結は目を背けた。


「──ああ。お前も、直前のことは覚えてんだろ」


「覚えている。だがその後どうなったかは俺も知らない。文月先輩が言った通り、真っ暗闇だった」


くそ、という疾風の呟きは、そこにいる誰もの言葉を代弁していた。


「露李は、秀水さんの死に際を知ってんだ。低級魔になった暁にどうなったか…あいつは知ってる。だから、お前らにあんな終わり方をさせるのが許せなかった」


いっそ、自分の手で。


そう考えた時の露李の気持ちを思うと、胸を締めつけられた。

どれほど苦しかっただろうか。

誰かが傷つくことを殊更に嫌う彼女が、親しい者たちを自ら殺すのは。

『大切な友達』だと露李は言った。

大切だからこそのことなのだと、言われずとも分かる。




今そこにいない露李がどんな思いでいるのか、どんな顔をしているのか、それだけが彼等の胸に重くのしかかった。


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