【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

「あーねえ。何だっけあの子。美喜ちゃん?だかなんだか知らないけど。起きないの」


思い出したように文月が尋ねると、結は真剣な顔で空を仰いだ。


あれから美喜は目覚めない。

魂が身体に馴染むのに時間がかかっているのかもしれないが、ずっと眠ったままだ。


「また泣いちゃうじゃん露李ちゃん。早く目覚めたら良いのに」


文月も大概な物言いだ。


「にしてもあいつ最近泣かねーな」


「泣き虫隠さなくても良いのにねえ」


文月と結は楽しそうに笑うが───


「あっちょっ露李その格好は寒いって!!」


「誰が泣き虫ですか!?」


上着を持って慌てた顔の水無月を後ろに叫んだのは案の定露李だ。

巫女装束姿で、むすっと二人を睨んでいる。


「うわいたのかよ!」


「おはよう露李ちゃん」


慄く結に対し文月はあくまで爽やかに挨拶をする。


「おはようございます…じゃないです!」


惑わされそうだった、と露李もぺこりとお辞儀をしながら気づくもそれはもう惑わされている。


< 333 / 636 >

この作品をシェア

pagetop