【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
むむ。何だか楽しそうだ、と騒いでいる三人を横目で見ながら氷柱を折っていく。
氷柱は一本や二本なら可愛らしいものだが、何本も屋根に下がっていると家が傷んでしまう。
それに神影神社も神影家も古い材質で出来ているので、ケアは怠れない。
──手、冷たすぎて死ぬ。
内心で悲鳴をあげながら作業を続ける。
正確には、続けようとした。
後ろに体重をかけようと踏み出すと、つるりと左足が滑る。
「いっ、」
もういいや、と諦めた時だった。
「てめぇふざけんなよ」
低い声と共に背中をがっしりした腕に支えられる。
口の悪さは一人前の理津だった。
「理津!ありがと」
「ありがと、じゃねぇよ。お前見てたらヒヤヒヤするわ」
大袈裟にため息をついた理津にごめんごめんと笑いながら立ち上がる。
「露李先輩、大丈夫ですか?」
「ドジだな」
理津の後ろに立っていた疾風は呆れ顔で、静は困ったような笑顔。
「ありがとう、大丈夫。それにしても皆早いね。どうしたの?」
「あー…えーっと」
「別に何もねぇよ」
「何もない」
口を揃えて何もないと言い張るが、こんなに勢揃いで外にいられては何もないと思う方がおかしい。
雪掻きを手伝ってくれるのはいつものことだが、こんなに早くやったことはない。
「露李」
言い合いが終わったのか、水無月がこちらへ歩いてきた。