【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
「ちょっと何、二人とも。子供じゃないんだから」
疾風と理津、二人分の重みが頭に乗っている。
さらりとした碧が視界の端に映った。
下は疾風か、と呑気に思う。
「…寒い。俺もまだ反対だが、露李」
「うん」
完全に納得させることなど誰にもできない、そんなこと分かっている。
露李は上に二人を乗せたままこくりと頷いた。
「分かってねぇだろ。うちの姫は困るぜ」
わざとらしくため息をついたのは理津。
露李の栗色の髪を弄びながら後ろからくぐもった声を漏らす。
「ごめんね」
「仕方ねぇよ、露李だからな。つか疾風どいてくんねぇ?俺、野郎の背中に乗る趣味ねぇんだよ」
「俺だってない」
「お前は寒いから乗ってるんだろ、じゃあ俺でもいいな。おら露李よこせ」
背中で言い合いを始める二人に自然に笑みがこぼれた。
静が露李を覗きこみ、苦笑い。
「同級生組は仲良しですね」
「本当にね」
そう答えるが、静もさきほどまで解せないといった表情をしていたので皆と同じ意見なのだろう。
しかし、そこに絶対的に変わらないものがあることが嬉しかった。
自分への信頼が重くて、その重さが嬉しかった。
「だいたい露李。お前は誰にでも優しすぎんだよ。心許しすぎじゃねぇか」
「あぁ、それは俺も思ったぞ。誰とでも打ち解けるの早すぎだろう」
「ちょっと先輩たち、酔っ払いみたいな絡みやめてくださいよ」
静が止めに入るもいつものごとく収まるはずもない。
また海松ちゃんの雷が落ちるんだろうなぁ、と内心で震える露李だった。