【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
美喜は露李を抱き締めながら、小さく笑った。
寂しげな笑みだった。
「あたしが有明さまによって創られた頃には、もう宵菊たちが知っている有明さまではなかったそうだもの。あたしは有明さまの“陽”の気で出来ているの、その時点であの人は闇に染まっているのよ」
だからありがとう、と美喜は言った。
「あの人にとって道具でも、あたしは有明さまが好きだったわ。でも、宵菊たちが知っている有明さまは闇に染まったあの人ではないの。闇に染まるなんて、嫌なことよ。…だから、あの人を救ってくれてありがとう」
実体を持った、温かい身体。
美喜は主が居ないことを実感した。
「露李も気づいていたはずだわ。あたしが“足りない”ことを。魂の半分とは思わないだろうけど」
“足りない”、まさにその感覚だった。
ときたま美喜に違和感はあった。
気にするようなことでも無かったが。
「それでも、あたしと友達になってくれてありがとう。クラスメイトは本能で察知して近づいてくれなかったから、本当に嬉しかったわ。あんたが悲しむことないのよ」
露李は、それが美喜の優しさなのだと知っていた。
反駁はせずにただ頷く。
今はその優しさに甘えるべきなのだと、思った。