【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


「でも……そうですわね。これからのことを説明するなら、皆さんが起きてからの方が良いのかしら。見たところ貴女と守護者の皆さんは随分、心の繋がりが強いようですし」


ふわりと朱音が浮かべた華やかな笑みに見とれて、言葉を失ってしまう。

なんて神々しいんだろう。

なんて息苦しい、清浄な空気なんだろう。


露李はごくりと唾を飲み込んで頷いた。


「でも、どうしましょう。私、そんなに長くはいられませんの。何分不安定な身でもありますし……無理矢理にでも起こしてしまいしょうか。普通は数ヶ月くらい寝ているものなんですけれど」


聞き逃せない言葉に驚いて身を乗り出す。


「数ヶ月!?でも私は……」


「さすがに花姫の魂を受け継ぐ方ですわね。二週間ですわ」


それも結構な時間だろうと思ったが、朱音の時間感覚では違うらしい。

本当に感心しているように言ってのけた。


「私はこの世界には干渉できませんが、万能です。露李姫、よろしくて?」


「貴女は……!」


「おそらくその推測は当たっていましてよ。朱音煩わしいのは嫌いですの。よろしくて?」


「あ、はいすみません」


では、と朱音が息を吸う。


パチンと指を鳴らした瞬間、広い部屋に七つ鏡が現れ彼らの寝ている部屋を映し出した。

しかし、水無月はそこにはいない。


「あれ、兄様がいない」


「あら?」


「俺ならここにいるよ、露李」


優しい声が露李にかけられるも、その表情は固い。



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