【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく

耳をつんざくような大きな音が空気を震わせた。

今度は違う意味で背中が寒くなる。


「私っ、」


「違うよ露李……」


お前じゃない、という呆けたような水無月の声で、恐る恐る瞼を押し上げる。

露李の周りを取り囲む“それら”が一斉に驚いた顔の朱音に向かっていく。


「……貴女」


朱音は疲れた仕草でパチンと指を鳴らし、まじまじと露李を見た。

信じられない、とその表情が語っている。


「お願いです朱音様っ、この人たちを傷つけないで下さい!お願いです!!」


「…花姫は、周りを魅了する才がありましたけれど。それ以上に──」


目を見開いたまま露李には答えない。

どうしたら良いか分からずに、露李には自分の荒い息だけが聞こえていた。


水無月が身体を起こしてくれ、その腕に甘えた。

朱音がはっと気がついて身動ぎすると、腕が強まる。


「あら、申し訳ありませんわ。私、魂までも抜いてしまうところでした」


「何、を……」


無邪気に笑いながらの謝罪とも言えない謝罪に、水無月が腕に力を込めたのが分かった。


「人とお話しすることもほとんどありませんの。お許しくださいませ本題に参りたいのですけれど……あら?」


五つの光が大きくなり、人形をとった。

眩い光がふきだし、その中から、見覚えのある姿が現れる。


「うちの姫様に……何、しやがる!!」


守護者たちだった。


「結先輩!」


間髪入れず腕に風の刃を造り朱音の方へ飛び出した。

すさまじい妖気が噴き出す。


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