【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


「そんな簡単に命を投げ出すなんて、正気の沙汰ではございませんわ。どうしてそんなことをなさるの?」


「皆を、守りたいからです!」


ぐっと乗り出して露李は叫ぶ。

大切な人を傷つけたくない。

傷つけたくないから、私が神になって皆が苦しまないような世界を作る。

おとぎ話のようだ。それでも。


「……残念ですわ」


しかし、朱音はポツリと言葉を落とした。

心底落胆した声色だった。


「え……」


神の座を降りたいのではなかったか。

それなのに、朱音は矛盾している。


「貴女は、もう少し知らなければならない」


「どう、いう……」


「全てを知らなければ、守ることはできない」


はっと露李は目を大きく見開いた。

何度も聞いた声だ。

ずっと分からなかった。


「あの声は、貴女だったんですね」


金色の本から聞こえた声。

何度も頭に響いた声。


「ええ、そうですわ。貴女が風花姫になることはずっと分かっていました。でも──駄目ですわ。まだその時ではない」


そう言い、朱音は再びふっと笑う。


「私がこの姿を保てるのもあと少しですわ。貴女方に、ヒントを差し上げます。これで少しはお考えになって」


朱音がパチンの指を鳴らした。


そして。


露李の意識はそこで途絶えた。



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