【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
とりあえず今の状況を把握し、露李にも少し説明してから、水無月は途方に暮れた。
とりあえず幼い露李に服を着せなければ。
しかし今のこの状況はどう考えても異様だった。
露李の叫びに守護者たちは呼応したようだが、それで目覚めたのならば海松は起きているのか。
身の周りの世話をしているのは同性である海松しかいないのだが、どうしたものか。
小さな頃はよく水遊びなどしたものだが水無月が大人になってしまった今、本来は十七才の露李を着替えさせるわけにはいかないだろう。
だぶついた着物は寒そうで、現に彼女は長い栗色の髪をマフラーのように巻きつけていた。
見ているぶんには可愛らしくて良いものだが本人は違うだろう。
「んー……」
「露李ちゃんの着替えって水無月できる?」
不機嫌そうに文月が尋ね、水無月は首を振る。
「生憎そういう趣味はないものでな。ああ、露李に後で怒られそうだ……」
「つーか子供用の服ってあんのか?」
「海松はどこにいるんだ?」
「部屋じゃねぇのか?てか、俺が着替えさせれば早いんじゃねぇ?」
「何言ってるんですか理津先輩なんて絶対ダメです!」
堂々巡りだ。
文月が溜め息をつくと、パタパタと足音がこちらに向かってくるのが聞こえた。
全員が身構え、露李がぎゅっと水無月と結の手を握った。
「誰かな」
文月がごめんねと露李に断り、障子を少しだけ開けて氷柱を折り取った。
浅葱色の気と共にそれが美しい刀に変わる。
「何かするつもりなら斬っちゃうよ」
つかつかと廊下に歩いて行くと、
「主様から、伝言でーす」
生気のない目が文月を見上げた。
咄嗟に文月が突き出した刀を首にあてられているのも関わらず、怯えもしない。
ただ不釣り合いに陽気な声がそう告げた。
「主様?朱音さまのことか?」
水無月が鋭く問う。