【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


「様なんて付ける必要あんのかよ」


理津がすかさず語気を強めた。

先程のことが堪えているらしい、じわじわと発される殺気に露李が怯える。


「理津、やめろ。露李が怯えているだろう」


「…悪ぃ」


疾風のとりなしに珍しく従い、ぶっきらぼうに詫びる。

ふるふると首を振り、また露李は結と水無月の手を握った。


「それで?伝言って何かな」


「『貴方がたの力をこの子達に託せば、女の子は目覚めますわ』


不意に彼女らの口から流れ出た朱音の声に皆が顔をしかめる。

不気味だ。


「『あの娘の式を勝手に使ってしまったことを詫びておいて下さいな』


最後にそう言い残して、二人が押し黙る。


「くそ、何なんだよ!」


「声を荒らげるなと言っているだろう。露李は怒鳴り声が嫌いなんだ。貴様その口を今すぐ縫い付けてやろうか」


「お前の言っていることの方がよっぽど怖いが」


疾風の冷静な突っ込みに水無月も思わず口を閉ざす。


「ひのりにいさま、おこらないで」


「んー?怒ってないよー。露李は何にも心配しなくて良いからね」


「相変わらず二重人格だなー。露李ー、いいか?こいつが一番危険だぞー?」


「余計なことを吹き込むな。露李が泣いたらどうする」


「その態度を悔い改めようとは思わねーのかよ……」


結が呆れて水無月に笑うと、文月がハイハイと割り込んできた。


「終わり終わり。ねぇ海松ちゃんのところに行くの、行かないの?あんたら理解してる大丈夫?」


思いがけない毒舌に水無月以外は呆気にとられる。


「もちろん理解している。……露李ー、お着替え用意してくれるお姉さんのところに行こうねえ」


「はいっ」


元気な返事に癒される一同だった。

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