【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
君をずっと
*********************
神社の周りに結界を張り巡らし、花霞が万一暴発しないように術をかけ直し。
力を合わせて出来るだけの対策をした。
それも“神”の前では無謀なことかもしれないが、何もないよりはましだ。
朱音が来る気配はなく、何かが迫ってくる予兆もない。
たた皆の胸に不安が募るだけの時間が過ぎていった。
露李は一度巫女服に着替え、境内を磨き、周りの木々たちに祈りを捧げた。
自分が以前、傷つけられたときに守ろうとしてくれた生き物たち。
彼等もまた、この戦いの犠牲になるかもしれない。
力を解放し、“声”を聞ける状態で全てのものに語りかける。
今まで声を返してくれたことはなかったが、それでも良かった。
──ありがとう。ごめんなさい。貴方たちの平安を壊していたのは、この私だった。
ざわざわと木々が鳴り、風が吹く。
【──我らは】
「え?」
思わず顔を上げた。
【我らは、風花姫──露李様と共に】
初めての声だった。
涙が溢れる。
「ありがとう」
最初で、最後だろう。
もうこの声を聞くことはないだろう。
そしてもう、賑やかに食事をすることも。
もう、口喧嘩をすることも。
もう、無くなるかもしれないのだ。
二度と。
顔を覆った。
涙を見せまいと、祈祷だけは一人になることを許してもらった。
何を願えばいいのかもう分からない。
ただ一つだけ──守護者たちや、自分の兄代わりや、初めての女友達のことや、そして自分とかつて戦った者たち。
彼等の幸せをただ、願っていた。
「───露李」
名前を呼ばれた。
いつも自分を助けてくれて、温かくて、強くて。
優しい、大切な声。
「結先輩。すみません、遅かったですか?」
そう言いながら立ち上がる。
泣いていたことは気づかれなかったようで、いつもの笑顔の結が立っていた。
「いーや。けどあんま一人にするのはちょっとなー」
「そうですよね、今から行きます」
走って集合場所である神社の鳥居に向かおうとすると、結に腕を掴まれる。
「なー露李。俺との約束、覚えてるか?」
振り返ると、いつになく強い目で結がこちらを見ていた。
その翡翠ににっこりと微笑む。
「約束?」
聞き返した瞬間。
凄まじいものが迫ってくるのを感じた。
「…何か来るな」
結が空を見上げて呟く。
神社の周りに結界を張り巡らし、花霞が万一暴発しないように術をかけ直し。
力を合わせて出来るだけの対策をした。
それも“神”の前では無謀なことかもしれないが、何もないよりはましだ。
朱音が来る気配はなく、何かが迫ってくる予兆もない。
たた皆の胸に不安が募るだけの時間が過ぎていった。
露李は一度巫女服に着替え、境内を磨き、周りの木々たちに祈りを捧げた。
自分が以前、傷つけられたときに守ろうとしてくれた生き物たち。
彼等もまた、この戦いの犠牲になるかもしれない。
力を解放し、“声”を聞ける状態で全てのものに語りかける。
今まで声を返してくれたことはなかったが、それでも良かった。
──ありがとう。ごめんなさい。貴方たちの平安を壊していたのは、この私だった。
ざわざわと木々が鳴り、風が吹く。
【──我らは】
「え?」
思わず顔を上げた。
【我らは、風花姫──露李様と共に】
初めての声だった。
涙が溢れる。
「ありがとう」
最初で、最後だろう。
もうこの声を聞くことはないだろう。
そしてもう、賑やかに食事をすることも。
もう、口喧嘩をすることも。
もう、無くなるかもしれないのだ。
二度と。
顔を覆った。
涙を見せまいと、祈祷だけは一人になることを許してもらった。
何を願えばいいのかもう分からない。
ただ一つだけ──守護者たちや、自分の兄代わりや、初めての女友達のことや、そして自分とかつて戦った者たち。
彼等の幸せをただ、願っていた。
「───露李」
名前を呼ばれた。
いつも自分を助けてくれて、温かくて、強くて。
優しい、大切な声。
「結先輩。すみません、遅かったですか?」
そう言いながら立ち上がる。
泣いていたことは気づかれなかったようで、いつもの笑顔の結が立っていた。
「いーや。けどあんま一人にするのはちょっとなー」
「そうですよね、今から行きます」
走って集合場所である神社の鳥居に向かおうとすると、結に腕を掴まれる。
「なー露李。俺との約束、覚えてるか?」
振り返ると、いつになく強い目で結がこちらを見ていた。
その翡翠ににっこりと微笑む。
「約束?」
聞き返した瞬間。
凄まじいものが迫ってくるのを感じた。
「…何か来るな」
結が空を見上げて呟く。